![]() ![]() | 皇帝のいない八月 [DVD]もう少しで傑作の誕生だったのに現在はカルト的な人気のある作品だが、公開当時は山本薩夫監督にしては珍しく失敗作といわれ、興行的にもヒットしなかったと記憶している。1978年の雑誌「シナリオ」に掲載されている脚本を読むと映画とは全く異なっている。山崎努の役は脚本段階では計画段階から登場し、渡瀬恒彦の相棒としてもっと重要な役だったし、三国連太郎は吉永小百合とは関係なく、最後はロボトミー手術はされないことになっている。吉永小百合の役は脚本でも映画でも不要だと思うが、脚本の方が純粋に政治サスペンスになっていたように思う。脚本のいい部分を殺して余計なエピソードや説明を入れすぎなんだと思う。作りようによっては新しいタイプの政治サスペンスの傑作が誕生した可能性もあったのに惜しい。ただし映画の内閣情報室長・利倉を演じた高橋悦史は良かった。高橋悦史は山本監督の映画では、いつも印象的な役を演ずることが多い。吉永小百合の恋愛ざたや渥美清の特別出演(松竹の悪い癖)で緩んでしまった列車内の描写とは対照的に、政治家やフィクサーたちのドロドロぶりは面白かった。 |



